大腸憩室症とは、大腸の壁に5〜10㎜程度の袋状の凹みが形成される疾患です。
通常は1㎝以下のものがほとんどですが、大きなものでは開口部が2㎝を超える場合もあります。日本では右側大腸(盲腸~上行結腸)およびS状結腸に起こりやすいとされています。ただし、高齢者では大腸全体に憩室を認めるケースが増加しています。
この記事では、大腸憩室症について、その原因、症状、検査、および治療について詳しく説明します。
大腸憩室症の主な原因は、以下のような要因によって大腸の壁が弱くなったところに、腸管内圧が上昇することで外側に袋状に凹んでしまうことであるとされています。
腸管の壁が弱くなる主な原因として、加齢や食物繊維の摂取不足などが挙げられています。
大腸憩室症の主な原因は、以下のような要因によって大腸の壁が弱くなったところに、腸管内圧が上昇することで外側に袋状に凹んでしまうことであるとされています。
腸管の壁が弱くなる主な原因として、加齢や食物繊維の摂取不足などが挙げられています。
通常は無症状ですが、憩室内の血管が破れて出血する大腸憩室出血や、憩室内に細菌が感染することで起こる大腸憩室炎を合併すると、次のような症状がでます。
痛みを伴わない血便・下血が突然出現することが多いです。
出血量が多いと、血圧低下・顔面蒼白・冷汗・頻脈などのショック症状が出る場合もあります。
腹痛、憩室炎の部位に限局した圧痛(お腹の上から押さえると痛む)、発熱、悪心、嘔吐、などの症状が現れます。
炎症が強くなると、周囲に限局した腹膜炎を起こしたり、穿孔して汎腹膜炎を起こしたり、全身に細菌感染が広がる敗血症などを来すこともあり、ショック状態となる危険性があるため、緊急処置を要することもあります。
大腸憩室症の検査には、以下の方法が一般的に使用されます。
内視鏡を使用して大腸全体を観察し、憩室の多さや分布や合併症の有無などを確認します。
画像診断検査(CT検査や注腸造影検査)
CTや注腸造影検査を行うことで、憩室の有無や憩室炎の有無を評価します。
合併症を伴わない憩室では、特に治療は必要ありません。
食物繊維を摂取することで便秘の解消を心がけ、憩室炎を予防するようにします。
大腸憩室出血や大腸憩室炎を起こした場合は、それぞれの治療を行います。
ほとんどの場合は保存的治療によって自然に止血するのを待ちます。
出血量が多かったり、出血が持続したりする場合、まずは内視鏡的止血術を試みます。
それでも止血できない場合の選択肢はカテーテルによる動脈塞栓術となります。内視鏡的止血術も動脈塞栓術も無効であれば、外科的に大腸を切除する場合もあります。
入院して絶食・点滴を行い、腸管を安静に保つことで自然に止血するのを待ちます。
大腸内視鏡を用いて、止血クリップなどにより出血部位の血管を物理的に潰すことで止血します。実際には観察するときにはすでに自然に止血していて、出血部位を同定できないことや止血できないこともあります。
血管カテーテルを用いて、出血の原因となっている血管(動脈)を同定し、出血している部位に金属のコイルなどを送りこむことで破綻している血管に栓をすることで止血します。
上記のいずれの方法でも止血が得られない場合は、開腹して出血源となっている憩室がある大腸を切除することもあります。
発熱や腹膜炎のようなひどい症状を伴わない憩室炎の場合、抗菌薬(抗生剤)の内服や消化にいい食事を取りながら保存的に治療を行います。
限局した腹膜炎を来している場合や、抗菌薬の投与で改善しない場合は、お腹の表面からチューブを炎症を起こしている部位に挿入して排膿(ドレナージ)を行うこともあります。それらの治療で改善が得られない場合、最終手段として炎症を起こしている憩室を含む大腸を切除することもあります。
入院して絶食・点滴を行い、抗菌薬(抗生剤)の飲み薬か点滴などを行い、炎症が治まるのを待ちます。
腹部超音波(エコー)で膿がたまっている部位を確認しながら、膿を排出させるためのドレーンを体内に入れて留置します。ドレーンを伝って膿が排出されて炎症が落ち着いてきたらドレーンを抜去します。
開腹して憩室炎を起こしている大腸の部位を切除してしまいます。
以上が、大腸憩室症についての基本的な情報です。
適切な食生活を心がけることで、大腸憩室症に伴う合併症である大腸憩室炎の予防が可能となります。
大腸憩室症の例