Duodenal adenoma
十二指腸腺腫とは

十二指腸腺腫とは

医療法人香誠会 えぞえ消化器内視鏡クリニック

十二指腸腺腫について

十二指腸腺腫とは、胃の奥に位置する十二指腸に発生する良性の腫瘍のことです。この記事では、十二指腸腺腫について、その特徴、症状、検査、および治療について詳しく説明します。

十二指腸腺腫の特徴

十二指腸腺腫の具体的な原因やメカニズムはまだ不明な点が多いとされています。
発見される頻度はかなり低く、「きわめてまれ」と言っても過言ではありません。
胃カメラで発見される頻度は、0.02〜 0.04%とされていますので、1万人に2〜4人という頻度となります。
十二指腸腺腫の多くは総胆管(肝臓や胆のうから出てくる管)や膵管(膵臓から出てくる管)が開口する乳頭部という所に発生します。

十二指腸腺腫の症状

十二指腸腺腫はそれほど大きな病変がないため、基本的には無症状です。
健康診断や人間ドックでの胃カメラや、別の目的(胃の痛みの原因精査など)で受けた胃カメラで偶然に発見されることがほとんどです。

十二指腸腺腫の検査

十二指腸腺腫の診断には、以下のような検査が必要となります。

 

内視鏡検査

通常は、境界が明瞭な白っぽい丈の低い扁平な隆起を呈することがほとんどです。
好発部位である乳頭部は通常の胃カメラではかなり見にくい場所ですので、詳細に観察できない場合も少なくありません。場合によっては特殊な胃カメラ(横方向を見るための側視鏡や斜め前方向を見るための斜視鏡など)を用いて精密検査することもあります。
診断確定のためには、生検組織を採取して病理組織検査を行うことになります。

 

病理組織検査

内視鏡検査の際に病変の一部を鉗子を使って採取し、病理組織検査に提出します。
病理組織検査の結果が「Group 3」であれば腺腫と診断が確定します。
ただし、生検は病変のごく一部を採取して検査するため、全体が同じような腺腫なのか、一部に「がん」が混じっていないのか、というところまでは確定できません。
最終診断を確定するには、全体を切除して組織検査を行うのが唯一の方法となります。

十二指腸腺腫の治療法

内視鏡治療

ほとんどの場合は、胃カメラを使って病変を切除できます。ただし、乳頭部にかかるような病変や、かなり広範囲の病変の場合は、胃カメラでの切除が難しいと判断され、外科手術を選択される場合もあります。乳頭部を巻き込むような病変の場合は切除後の膵炎のリスクが上がりますし、十二指腸の壁が非常に薄いため切除時の穿孔のリスクも高くなりますので、内視鏡治療の中では偶発症の発生頻度が高いため、高度な技術を必要とします。

 

外科手術

腺腫の場所やひろがりによって術式が異なりますが、胃カメラでの内視鏡治療が難しいと判断された場合は外科手術が選択されます。最も頻度が高い乳頭部を巻き込む病変となると、膵頭十二指腸切除術という術式となりますので、体への負担が大きい治療となります。

 

以上が、十二指腸腺腫についての基本的な情報です。
十二指腸腺腫の疑いがあると診断された場合は、医師のアドバイスに従い、適切な精密検査や治療を受けるようにしましょう。

 

十二指腸腺腫の例