アレルギーと同じ機序により起こる食道炎で、白血球の一種である好酸球が食道に集まり、食道粘膜に慢性的な炎症を起こす病気です。胃腸に炎症が起こった場合は好酸球性胃腸炎といいます。
アレルギーの原因となる食べ物は小麦、牛乳、大豆、卵などが考えられていますが、原因が特定できないことも少なくありません。もともとアレルギー体質の方に多い傾向があると言われています。
主な症状は「胸焼け」「喉や食道がつかえる感じ」「胸の痛み」「嘔吐」などで、逆流性食道炎と非常に似ています。上記のような症状で困っているが、内視鏡検査はまだ受けておらず、症状から逆流性食道炎と診断されて内服薬をもらっているが改善しない、という方は好酸球性食道炎を疑って胃内視鏡検査(+組織検査)を受けた方がいいでしょう。
胃内視鏡検査所見と組織検査で診断が確定します。ただし、内視鏡医がこの病気を知らなければ、症状も内視鏡所見も逆流性食道炎に似ているため、逆流性食道炎として対応されてしまう事もあるのが残念なところです。
内視鏡検査では、食道粘膜に「縦方向の溝」ができるのが最も特徴的な所見で、この部位から生検(組織検査)をすると、アレルギーに関与する好酸球が粘膜下に多く認められます。
好酸球性食道炎の内視鏡像
好酸球性食道炎と診断するためには、「組織検査で一定数の好酸球浸潤を認めること」と「関連する症状があること」の2項目を満たす必要があります。
当院では、痛みや苦痛を最小限に抑えた胃内視鏡検査を行っておりますので、安心して受診ください。
現時点では明確な治療指針がない状態ですが、胃酸を抑える薬(制酸薬)を内服するか、抗アレルギー薬やステロイド剤の内服治療を行うことになります。
好酸球性食道炎の疾患概念は最近になって確立したものですが、最近は消化器内科医の間でもよく認知されるようになっています。2000年代には非常に稀な疾患とされていましたが、徐々に有病率は増えていて、日本における有病率は全人口あたり0.4~0.5%程度と推定されています。欧米では有病率がかなり増えていますので、日本でも今後増えてくる可能性があります。