胃腺腫とは、胃の粘膜に生じる良性の腫瘍です。この記事では、胃腺腫について、その特徴、症状、検査、および治療について詳しく説明します。
腺腫は良性の腫瘍で、生検して組織検査すると「Group 3」と診断されるものです。
(生検結果をシンプルに説明すると、「Group 1」が【正常】、「Group 5」が【がん】ですので、「Group 3」の腺腫は【その中間】ということになります)
腺腫の中にはがん化のリスクが高いもの(胃型)と低いもの(腸型)が存在しますが、がん化のリスクを見た目だけで正確に診断することは困難です。
見た目は典型的な良性の腺腫であっても、腺腫内に癌が併存していること(腺腫内癌といいます)もありますし、がん化のリスクも正確には予想できないため、慎重な方針決定が必要です。
胃腺腫はそれほど大きな病変がないため、基本的には無症状です。
健康診断や人間ドックでの胃カメラや、別の目的(胃の痛みの原因精査など)で受けた胃カメラで偶然に発見されることがほとんどです。
胃腺腫の正確な診断には、内視鏡検査と組織検査が必要となります。
通常は、境界が明瞭な白っぽい丈の低い扁平な隆起を呈することがほとんどです。
しかし、まれに凹んだ形(陥凹型)をとることもあります。
胃底腺ポリープや過形成性ポリープなど、他の良性ポリープとの区別は比較的容易ですが、早期胃がんとの区別は付きにくい場合もありますので、基本的には生検組織を採取して病理組織検査を行うことになります。
内視鏡検査の際に病変の一部を鉗子を使って採取し、病理組織検査に提出します。
病理組織検査の結果が「Group 3」であれば腺腫と診断が確定します。
ただし、生検は病変のごく一部を採取して検査するため、全体が同じような腺腫なのか、一部に「がん」が混じっていないのか、というところまでは確定できません。
最終診断を確定するには、全体を切除して組織検査を行うのが唯一の方法となります。
腺腫内に「がん」が併存する可能性が否定できないことから、腺腫に対しては基本的には早期胃がんに準じた治療が行われます。入院して胃カメラを使って内視鏡的に切除(病変を正常な周囲粘膜を含めて完全に切除)する治療が基本です。
腺腫のサイズが小さい場合や、がん化のリスクが低い「腸型」と診断されている場合、他にリスクが高い病気をお持ちの場合、などは、慎重に経過観察されることもあります。
以上が、胃腺腫についての基本的な情報です。
胃腺腫の疑いがあると診断された場合は、医師のアドバイスに従い、適切な経過観察や治療を受けるようにしましょう。