胃の中に住みつく細菌です。
多くは幼小期に感染したものが持続感染すると考えられており、成人でピロリ菌が入ってきても持続感染することは少ないとされています。感染経路は特定されていませんが、少なくとも先進国では幼少期に親から子に感染するルートが多いのではないかと言われています。
除菌治療の普及により、若い世代ではピロリ菌に感染している人の割合は減ってきてはいますが、日本では中高年を中心に感染率がやや高い状態が続いています。
慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんが主な病気ですが、リンパ腫や特発性血小板減少性紫斑病(血液の病気)などもピロリ菌が関与していると分かっています。
(1) 胃内視鏡検査(胃カメラ)時に調べる方法
いずれも胃の中で採取した生検組織を使ってピロリ菌を確認する方法です。ピンポイントで採取した組織で検査を行うため、ピロリ菌が感染している胃粘膜であってもたまたまピロリ菌がいない部位が採れていた場合には偽陰性(誤って陰性と判定)となってしまうのが欠点です。
(2) 胃内視鏡検査(胃カメラ)以外で行う検査
ピロリ菌の検査の中で最も信頼性の高い結果を得られるとされているのは尿素呼気試験(UBT)です。健康診断や人間ドックでよく行われている抗体検査は、過去に感染していたが現在は陰性になっている方(既感染)でも陽性となってしまうことがあり除菌治療の必要性が正確に判断できない場合がありますので、抗体検査で陽性とされた方でも尿素呼気試験(UBT)や便中抗原検査で現在の感染状況を確認する必要がある場合があります。ちなみに除菌後の判定には尿素呼気試験(UBT)が推奨されていますので、当院ではピロリ菌の感染診断には原則として尿素呼気試験(UBT)を行っています。
保険診療でのピロリ菌感染検査が可能な場合は以下の2パターンです。
それ以外の場合は保険診療としての検査ができませんので、希望される場合は自費診療となります。 ピロリ菌が感染している場合、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどに罹患していないか確認する必要がありますので、胃内視鏡検査は必ず受けるようにしてください。胃内視鏡検査を受けられていない場合、除菌治療は保険適用外となります(薬剤費も10割負担)ので御了承ください。
当院では、解像度の優れた最新の内視鏡システムを用いて、痛みや苦痛を最小限に抑えた胃内視鏡検査を行っておりますので、安心して受診ください。
半年以内の胃内視鏡検査で慢性胃炎(あるいは萎縮性胃炎)の診断を受けた場合、改めて胃内視鏡検査を受けていただく必要はありません。その際の結果報告用紙(診断名と検査日が必要です)をご持参いただければ保険診療でピロリ菌検査を受けていただくことが可能で、その検査でピロリ菌感染が確認されたら除菌治療も保険適用となります。
胃内視鏡検査で「慢性胃炎(萎縮性胃炎など)」の所見があり、かつ、ピロリ菌検査で「陽性」だった場合に除菌治療を行います。
ピロリ菌を除菌するため薬を1週間服用します。
抗生剤2種類+胃酸分泌抑制剤1種類のパッケージです。
除菌が成功したかどうかの判定は、除菌薬を服用終了してから最低でも1ヶ月間隔を開けないと正確に判定できません。当院では万全を期して服用終了後2ヶ月空けて判定しています。
当院では除菌判定に「尿素呼気試験(UBT)」を用いていますので、判定検査当日は絶食で来院いただきます。
(1) 胃内視鏡検査(胃カメラ)は保険診療としてピロリ菌検査を行うためにも除菌治療を行うためにも必須となっています。したがって、胃カメラを受けていない場合、ピロリ菌検査も除菌治療も保険適用されず自費診療となります。
(2) 3次除菌治療以降は、保険適用されず自費診療になります
(3) クラリスロマイシン(クラリス)とサワシリン(ペニシリン系抗生剤)にアレルギーがあり、規定のセット以外の薬剤を使って除菌する場合も保険適用されず自費診療になります。
半年以内の胃内視鏡検査で慢性胃炎(あるいは萎縮性胃炎)の診断を受けた場合、改めて胃内視鏡検査を受けていただく必要はありません。その際の結果報告用紙(診断名と検査日が必要です)をご持参いただければ保険診療でピロリ菌検査を受けていただくことが可能で、その検査でピロリ菌感染が確認されたら除菌治療も保険適用となります。