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京都市中京区えぞえ消化器内視鏡クリニック院長のブログ

医療法人香誠会 えぞえ消化器内視鏡クリニック
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粘りのある便(粘液便)について解説

日常の健康チェックの一環として、便の状態を観察することはとても重要です。その中でも、便に粘りがあったり、透明や白っぽい粘液が付着したりしている状態は「粘液便」と呼ばれます。本記事では、粘液便の原因や考えられる病気、改善方法について詳しく解説します。

 

粘液便とは?

粘液便とは、便に粘り気のある分泌物が混じっている状態を指します。この粘液は、腸の内壁を保護する役割を持つ分泌物で、通常はごく少量しか排出されません。しかし、腸内で異常が起こると、粘液が多く分泌され、便に付着することがあります。

  • 外見:便の表面に透明、白色、黄色、時には血が混じる赤色の粘液が見られる。
  • 感覚:便が通常よりも柔らかく、滑りやすいことがあります。

 

 

粘液便の主な原因

1. 腸の炎症

腸が炎症を起こすと粘液が過剰に分泌されることがあります。主な原因として以下が挙げられます:

  • 感染性腸炎:細菌やウイルス、寄生虫が原因で腸に炎症が生じる。
  • 過敏性腸症候群(IBS):ストレスや食生活の乱れによる腸の過敏反応。
  • 炎症性腸疾患(IBD):クローン病や潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性疾患。

2. 食生活の影響

食物繊維が不足すると、腸内の運動が低下し粘液が溜まりやすくなります。また、脂肪分の多い食事やアルコールも粘液便の原因となることがあります。

3. 消化管の障害

  • 大腸ポリープや大腸がん:粘液便に血が混じる場合、腸内にポリープや腫瘍がある可能性も考えられます。
  • 腸閉塞:腸内の通過が妨げられた結果、粘液が溜まることがあります。

4. アレルギーや感染症

食物アレルギーや細菌感染が粘液便の原因となる場合もあります。乳製品や特定の食材に対するアレルギーがある場合、腸が刺激を受けて粘液を多く分泌することがあります。

 

 

粘液便に関連する症状と注意すべきサイン

粘液便が単独で現れる場合、必ずしも重篤な病気を示しているとは限りませんので、過剰に心配する必要はありません。ただし、以下の症状を伴う場合は早めに医師に相談してください:

  • 血便:粘液に赤い血が混じる場合、大腸ポリープや大腸がんも鑑別に挙がります。
  • 下痢や便秘の繰り返し:腸の機能異常が原因の可能性があります。
  • 腹痛や発熱:感染性腸炎や炎症性腸疾患が疑われます。
  • 急激な体重減少:大腸がんをはじめとした消化器系の深刻な疾患が潜んでいる可能性を考えます。

 

粘液便の診断方法

粘液便の原因を特定するためには、以下の検査が行われます:

  1. 便潜血検査:便中に血液が混じっていないか確認します。
  2. 内視鏡検査:大腸の状態を直接観察します。
  3. 血液検査:炎症や感染症の有無を確認します。
  4. 画像検査:CTやMRIで腸の異常を確認することもあります。

 

 

粘液便の治療方法

粘液便の治療は、その原因によって異なります。

1. 食生活の改善

  • 食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物)を積極的に摂取する。
  • アルコールや脂肪分の多い食事を控える。
  • 腸内環境を整えるため、発酵食品(ヨーグルト、納豆)を取り入れる。

2. 薬物療法

  • 感染性腸炎には抗生物質や整腸剤を使用する場合もあります。
  • 過敏性腸症候群には腸の動きや便中の水分量を調整する薬があります。
  • 炎症性腸疾患には免疫抑制剤や抗炎症薬など専門的な薬を使用します。

3. 手術

腸閉塞や大腸がんが原因の場合、外科的治療が必要となることがあります。

 

 

粘液便を予防するためのポイント

  1. 規則正しい食生活
     栄養バランスの取れた食事を心がけ、腸に負担をかけないようにします。

  2. ストレスの管理
     ストレスは腸内環境に大きな影響を与えます。適度な運動やリラクゼーションを取り入れましょう。

  3. 便の観察を習慣化
     便の状態を日常的にチェックし、異常が続く場合は早めに医師の診断を受けましょう。

 

まとめ

粘液便は一時的な腸の異常反応である場合も多いのですが、放置すると大きな病気に繋がる可能性もある症状です。便の状態をチェックし、異常が続く場合や他の症状を伴う場合には、早めに医療機関で診察を受けることをおすすめします。